日時:2023年4月29日
場所:三田キャンパス西校舎515教室
参加者:会場45名/オンライン15名
コロナ禍により中止を余儀なくされていた合同勉強会を三年半ぶりに開催することができました。
第一部の講師は1986年文学部卒業で、総合政策学部教授、慶應女子高等学校校長でいらっしゃる森さち子さん。「心の通い合いを求めて」の演題で講演をお願いいたしました。
森さんがセラピストとして、かかわりを持たれたけい君(7歳)は自閉症で、言葉による交流は困難でした。そのけい君との「心の通い合い」について、実際の心理療法セッションの動画を交えて、教えていただきました。
動画では、けい君と初めてアイコンタクトする場面など、印象的なシーンをいくつも拝見することができました。会場とオンラインの参加者すべての皆さんの心に強く響いたことと思います。
第二部のパネルディスカッションでは、1986年経済学部卒業で明星大学特任教授の坂井隆之さんと、法学部政治学科4年で90期代表の安田光里さんのお二人に基調報告をお願いしました。
坂井さんは「心の通い合い」について、児童養護施設にいる子どもたちの実情から説き起こし、私たちは困難を生きる子どもたちを支援できるのかと問い掛けて、目の前の子どもの幸せを願う気持ちがあるなら「やろう」と呼び掛けられました。
さらにテレビドラマ『リエゾン』からの引用で、「子供時代の幸福な記憶を残してあげることは、全人生をかけるだけの価値がある」と現役生にエールを送ってくださいました。
安田さんはなぜ「心の通い合い」が重要であるのかについて、所属ゼミで勉強されている「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」から説明され、人々が幸せに暮らすために必要な要素となりうると結論付けられました。
またライチでは子どもとサークルメンバーのそれぞれとの「心の通い合い」が得られるとして、不安を乗り越え、楽しい思い出を作ろうと新入生に入会を呼びかけました。
お二人の基調報告を伺った後、森さんにも加わっていただき、会場参加の皆さんとの間で活発な質疑応答が繰り広げられました。現役生から、実際に子どもと向き合う中で感じている質問があり、先輩からの回答に大きく頷く様子も見受けられました。
このようにして、今年度の合同勉強会は盛会裏に終了いたしました。講師の森さち子さん、パネリストの坂井隆之さん、安田光里さん、本当にありがとうございました。
ご参加の方々から早速メールでご感想をいただいています。
<心理学やセラピーの基礎知識は持ち合わせていませんが、森さんの講演ではその道のプロとしての矜持と一人の人間としての感情の間で、粘り強く、温かい眼差しでK君に向きあわれている姿に感銘を受けました。坂井さんの、子供時代の幸福な記憶を残してあげることは全人生をかけるだけの価値がある、という言葉は響きます。安田さんのプレゼンからも意気込みが感じられて、「頑張れよ!」と声をかけたくなる内容でした。>
今後は、春の合同勉強会、秋の総会を、三田会活動の二本柱として継続させていきたいと考えております。
会員の皆様には引き続きご支援ご協力をいただきたく、よろしくお願いいたします。
担当幹事:飯塚克己