2023ライチウス三田会総会報告

| 2023年12月25日

〇10月28日、ライチウス三田会総会が開催されました

今年度の総会は昨年に引き続き三田キャンパスでの開催としました。初の試みとして二部構成で実施しました。第一部は本館102教室で定例議事・講演会・グループ懇談を行い、第二部は山食にて日本酒セミナーを含む懇親会です。
来賓、会員の参加は44名、現役学生の参加は16名の合計60名でした。昨年に引き続きオンラインによる参加も実施しました。参加者は9名でした。

参加者集合写真

〇総会に先立って希望者参加による三田キャンパスツアーが行われました

塾員センター大友部長の案内で・福澤記念館(旧図書館)・演説館・法科大学院模擬裁判教室・イサムノグチ設計の建物・福澤先生終焉の地を巡りました。
福澤記念館の慶應義塾史展示室では今夏の甲子園での慶応高校の優勝で授与された全国高等学校野球選手権大会優勝旗も間近に見ることができました。
福澤先生終焉の地は旧居跡でキャンパス内では見過ごしてしまうようなところにありました。                    
塾員として一度は見ておきたい、知っていたい、というところが多い見応えのあるツアーでした。

【第一部 総会】

定例議事

〇規約にしたがい次のことが承認されました

・次期役員
   会長:半田理恵子(S51卒)    副会長:飯塚克己(S54卒)   
  会計監事:林圭子(S53) 末光奈緒子(S55)
  新役員の選任に伴い次の役員が退任します。
   副会長:加藤秀明(S53)    会計監事:餘吾徳造(S50) 
加藤副会長は23年間幹事を務め、近年は副会長として年配と若手会員を繋ぐ役割を担いました。
餘吾監事は副会長在任中に現役主催の勉強会を立ち上げる基礎を作り、会員の中の講師等の人材発掘に尽力しました。また、ライチウス三田会ホームページの立ち上げにも貢献しました。

・2022年度会計監査報告

講演会

〇タレント・日本酒スタイリスト島田律子さんに講演をしていただきました
 演題「私はもう逃げない-自閉症の弟から教えられたこと-」

島田さんはJALのCA出身で、かつての人気テレビ番組「さんまの『恋のから騒ぎ』」に出演して人気でした。
彼女の弟さんは自閉症です。現在、ご両親らが尽力なさって作られた発達障害のための施設で弟さんは生活しています。その弟さんと家族のことを中心にお話をしていただきました。流石にタレントだけあって話術が巧みで、聞く者は島田さんの体験の世界に引き込まれました。華やかな活動の裏でいつも弟さんに負い目を感じていた彼女の姿をご自身の対談から引用しました。

かつての島田さんの思い

かつては、自閉症がどういう障害なのか、理解されていない時代でした。そのコンプレックスを持ち続けたまま歩んできました。親から「不憫で苦労をかけるね」と言われても、「私は大丈夫」と心配かけないように言い続けてきました。コンプレックスとは無縁そうな、全然違う道を歩んできたんです。その中で、CAやタレント業がありました。ただ、内心ではこの仕事をやっていていいのだろうか、という思いがすごくありました。20代後半になってくると、社会経験を積んで壁にぶち当たり、私はダメだと思ったり、周りの大人がすごくキラキラして見えたりしました。自分一人で、私なんかダメな人間なんだと思ったり、周りに気を遣うようになっていったんです。芸能界が不安定な職業ということもあり、このままでは私は大人になりきれない、幸せにもなれないなと思ったんです。いろいろ考える中で、その根本にあるのがコンプレックスだと感じました。弟のことと向き合わず、親にもその思いを話せずにいた部分だと…。 それから、ワープロで自分のことを振り返りながら、書き留め始めるようになったんです。一人カウンセリングのようなことをしていましたね。そうすると、すごく自分のことについてわかるようになっていったんです。

-どのようなことに気付かれたのですか。

私の中で、自閉症に対する無理解を社会のせいにしていたことです。隠すことなく、情報を発信していかなければ、理解して欲しいと思っても無理だということに気付いたんです。せっかくこういう仕事をしているので、その意味を考え、使命感の中で、本にしてみようと思いました。ちょうど30歳位の時でした。大人になりきれず、壁にぶち当たったり、心にひずみが出ていた頃です。親にも言えなかった気持ちを本にすることにしました。そこで漸く、なぜこの業界にいるのか、その意味が見えてきた気がしたんです。

《参加者感想》

(文3 Sさん)自閉症の方と少し関わることはあっても、そのご家族、特にご兄弟から、「自閉症の方と一緒に生きる」という目線でお話を伺ったことは初めてで大変勉強になり、島田さんが本の出版や講演活動を始められるに至る強い思いに心をうたれました。ご自身が大人になるまで何を思って生きてきたか、弟さん本人とご家族の苦悩、弟さんの才能、また島田さんにとっての結婚し子どもをもつという決断の意味などについて、お話を聞くまで想像できなかった自閉症の側面や、島田さんの思いを知ることができました。

(R4 Hさん)島田さんの弟りきおさん について
ご家族ならではの視点が織り交ぜられながら、具体的な症例について知ることができ学びを深めることができた。特に1970~80年代の自閉症の対応・治療法(健常者と遊ぶべき云々)が現代の価値観とは異なるもので印象に残った。そうした状況の中でも、りきおさんがパニックを起こしたり、体毛を抜くコダワリがあったりするのは何故なのかつきとめているところに凄さを感じた。「相互理解」のために壁を乗り越えて、一緒に歩んできたご家族・島田さん達ではないと成し遂げられなかったことだと思う。今よりも大きな壁があった当時の社会の中にりきおさんを置き去りにしなかったのは凄いことだと思う。ご両親も、島田さんも、それぞれ苦悩しながらも日常の輪の中でりきおさんと手を取り合っていないと気づくことがないままだったと思う。「僕は普通の子じゃない」というりきおさんの言葉には胸が締め付けられた。

(H12 Sさん)島田律子さまのご講演は「きょうだい児」の視点がそのまま伝えられており、大変貴重でした。障がいと言われることへの戸惑いとご家族の葛藤、そしてご本人(りきおさん)が実はご自身のことを理解しているというということが生の声として非常に心に響きました。何が障がいで何が「普通」なのか?私を含めて大変な色眼鏡をかけているのではないか、と改めて感じました。自閉症の方の素晴らしい力をどのように活かしていける環境ができるか、など。

グループ懇談

〇講演の後、参加者は4つのグループに分かれてグループ懇談に移りました

昨年のグループはテーマだけ決められていて進行はグループ任せでした。自然発生的に進行役を引き受けてくださる方が出て結果としてうまくいきましたが、昨年の反省に基づき、今年はグループの進行を前もって次の方々にお願いしました。4名の方々の進行により懇談は明るい雰囲気で円滑に進められ年代を越えた会員と現役生との交流ができました。

A大学教育 進行:淸水信三さん(S55)】
Bボランティア活動 進行:伊藤教彦さん(S55)】
C100周年に向けて 進行:半田理恵子会長(S51)】
Dライチウス活動と私 進行:新川菜生さん(H12)】 

Aグループの懇談
「ライチウス入会の動機」(淸水信三さんメモより抜粋)

・就職時に大学4年間頑張った実績が欲しかった。のめりこんだ。今でも福田会に行っている。厚労省でライチの経験を踏まえた仕事をしている。

・司法試験を受けようと思っている。資格を使って犯罪者弁護をどうしていくかに興味を持っている。中学はキリスト教系で人権について・弱者をどうしたらいいか学んできた。犯罪者は悪い、だが彼らにも人権があるというところに惹かれ、彼らに力を貸すことに興味がある。

・至誠学園で個人として活動している状況。もともと興味があったが、何がしたいか考え、子どもの頃に保育士になることが夢だったので、人に役立つことをと思い入会。担当の子と二人でカラオケなど居場所作りという学生支援の本質を味わっている。

Cグループの懇談 
「100周年に向けて」(半田会長メモより抜粋)

 40年卒の先輩からは、当時の活動、特に至誠学園だけではなく、仲間同士の交流がより深まるようにオープンドアと呼ばれる活動があった事が伝えられた。

 現役生より、ライチウス会という名称故に、周囲からわかりにくいので、名称を変更した方が良いのではないか、と思ったこともあったが、フィンランドの独立に関わる、深い意味のある名称とわかり、むしろ、その歴史を知り、それを伝えられるように学んでおきたいとの意向が示された。

 まとめ ライチウス会の歴史、活動の内容、合わせて、その社会的背景を知りたいとの要望を現役生が持っていることがわかった。周年記念誌だけでは、その社会的背景まで触れていないと思われ、100周年に向けてさらに掘り下げたものが必要ではないかと。これは今後の課題となった。

《参加者感想》

(経2年 Kさん)三田会の方との懇談で、昔のライチの様子や、時代の中でどう変化してきたのかなどを伺うことができました。貴重な資料も見せていただき、大変興味深かったです。

(文3年 Sさん)短い時間でしたが、世代もバラバラの皆様とお話しできてすごく楽しかったです。テーマにこだわらず、皆様が現役時代にされていた活動や、卒業後のお仕事など、いろいろな内容をお伺いできました。

(法・政1年 Mさん)ライチウス会のことをあまりよく知らなかったのですが、先輩方は定期活動に加えたプラスαの活動もしていらっしゃったことを知り、大変勉強になりました。

(R4 Hさん)「もっとお話したかったぁ」と思わざるを得なかった、魅力的なメンバーでとても楽しかったです。OBの方々、現役生のお話をもっと聞きたかったな、と後悔するほどあっという間に時間が過ぎ去ってしまいました。

(S52 Sさん)今回はグループ懇談の時間をたっぷりとっていただき、とても充実した内容でした。(S55 Mさん)昨年も若いOG/OBさん、現役生等との会話は新鮮で刺激的で素晴らしいです。ただ時間配分が難しそうで(年配者への配慮?)もっと若い方々の話す時間、(私からすると、聞く時間、)が多くなって欲しい、という感じでした。

【第二部 懇親会】

日本酒セミナー

〇今回は初の試みとして懐かしい山食で、懇親会を実施しました

島田さんに歴史的・世界的視野からの日本酒の現状を語っていただきました。島田さんは「きき酒師」の資格を有し、タレント活動の傍ら日本酒造組合中央会認証「日本酒スタイリスト」として、日本酒の普及活動に取り組んでいます。おいしい日本酒「喜楽長」の辛口純米吟醸、特別純米酒、氷温囲い吟醸、氷温囲い本醸造の4種を味わいながらお話を聞くことができました。喜楽長は滋賀県で酒造会社を営む島田さんと旧知の喜多酒造社長・ライチOB喜多良道さん(S53)に提供していただきました。

懇親会

〇日本酒セミナーの後は世代を超えた交流でした 

初めての山食での懇親会でした。コロナ禍で対面の追いコンができなかった令和になってからの卒業生が招待され、7名の参加がありました。現役生から昭和卒業の会員まで老若男女が年齢の差を超えて楽しく交流しました。参加者には大いに刺激を受けたようです。

《参加者感想》

(医年 Sさん)ご年配の方々とお話しする機会は滅多にないため貴重なお時間でした。コロナ禍卒業生と少しお話しできた。

(商2年 Mさん)島田さんのプレゼンテーション力、パッションが伝わってきて、自分も早く日本酒を楽しみたいと思えた。 日本酒の世界進出の現状を知り、日本に誇りを持てた。三田会の方と混ざって話せたのが良かった。あっという間に過ぎた。 

(R3 Wさん)追いコンができなかった世代としてこのような企画をしてくださり、ご招待をいただき、本当にありがとうございました。席をみんな自由に移動して、OBOGと話したり、現役の後輩の今の活動を聞いたり、自分たちの仕事の話をしたり……普段できない交流に刺激を受けましたし、何より楽しかったです。

(H12 Sさん)懐かしい山食で、皆様と若き血を歌えたことは今日からの活力となりました。島田さまも輪の中に入ってくださり、感激されていました。現役生と令和卒業生との懇親も和やかに行われ、これからの三田会の若い力に対しても改めて頼もしい感覚を持つことができました。様々な場面に一つ一つ細やかなお心遣いがあり、みなさんが安心して楽しく過ごせるための配慮を感じられる懇親会でした。欲を言えばカレーがメニューにあると更に良かったです(笑)。喜多酒造様の歴史や挑戦を軸に、日本酒の現状や世界における価値を教えていただくことができ,日本の底力をひしひしと感じるとともに、別の分野であってもチャレンジを続けなくては!!と大変励まされる思いがしました。

〇山崎義弘さんS55卒、新川菜生さんH12卒 に写真を提供していただきました

〇総会に先立ちご逝去された会員23名(平成21年より直近の3年にご連絡いただいた方)が紹介されて黙祷が捧げられました

〇総会を終えて

島田さんの講演、グループ懇談、懇親会と中身が充実した総会になりました。総会が13:00~18:00という長丁場になるため、一部・二部構成で部の参加自由としました。せっかく半日お付き合いいただくのだから、楽しさとともに、知的な心に残るお土産を持ち帰りいただきたいと幹事一同知恵を絞りました。参加したみなさんには高い評価をいただきましたが、昨年に比べて参加者が増えなかったのは残念です。また、昨年度から実施しているオンライン参加ですが器具の調子と調整が悪く、ご迷惑をかけてしまいました。次年度の課題です。最後に令和の卒業生から寄せられた総会への感想を載せます。

自分たちが現役だった頃より楽しめる総会となっており、参加して本当に良かったです。講演会では自閉症そのものについて学ぶのはもちろんのこと、その家族という立場からの苦しみ、葛藤、気づきを知ることができて衝撃を受けました。グループ懇談ではOBOG、現役生が混じっていろいろな視点から話ができ大変興味深かったですし(もっと長くやりたいほどでした)、自分のこれからの社会貢献/ボランティアのあり方についても考えさせられました。

コロナ禍を乗り越えて、活動・ライチをつないできてくれた後輩やOBOGの皆様に感謝申し上げます。これからも素晴らしいライチというサークルがますます繁栄し、活動の輪が広がってほしいです。(R3 Wさん)

会員のみなさまのご協力に感謝申し上げます。
幹事長 鈴木由之